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採用 スカウトメール ~コツを掴んで効率的な活用~

 近年、激化する採用マーケット。以前には求人広告などに掲載して応募してくる方を待っていれば良かった時代もありますが、現在においてはそのような受動的な採用手法においては大手や有名企業などを除いては難しく、採用がうまくいかないとお困りの中小企業様も増えています。今回は今日において採用市場における必須ツールとも言えるようになった、「スカウトメール」に関する運用方法についてご紹介致します。

スカウトメールとは】

 

スカウトメールとは、2010年代から急速に広まりだした採用手法で、求人サイトのデータベースに登録されている求職者に対して、主に自社の採用担当者から応募を促すための勧誘メールやメッセージを個別に直接送ることで、高い訴求力をもって求職者にアプローチする手法です。 求職者からすれば自身に対して個別に名指しでお誘いがあるわけですので、人間心理として必然的に興味が高まることは間違いありません。近年では人材不足が社会的問題になっているITエンジニア関連の採用だけでなく、新卒採用に特化したものや、一般の営業職や事務職の採用などにも広がりを見せており、スカウトメールはもはや採用マーケットにおいてはマストアイテムと言っても過言ではない状況となりつつあります。 

 

 

求職者や人事担当者の悩み 

 

しかし近年、急速に広まったスカウトメールにおいては、新たに色々な問題が生じてきています。人事担当者や求職者の各方面から聞かれる主なお悩みは以下の通りです。 

 <求職者> 
  ・全く希望していない職種(業務)のスカウトが来る 
  ・かなり多くのスカウトが届くが、勤務中のため時間がなく全て見られない 
  ・自身の職歴や希望データをおそらく見ないで送ってきている 

 <人事担当者> 
  ・採用以外の業務と兼任しているので多忙で対応する余裕がない 
  ・専門職採用の場合、専門スキルがわからず送りづらい 
  ・結構手間が掛かるので、人材紹介サービスの方が業務効率が良い 

求職者側においては「スカウトの質」に対する疑問、人事担当者からは「業務上の負担が大きい」と言ったあたりにおいて課題があるようです。 

 

 

運用について】

 

以上のような実情や問題点を踏まえたうえで、企業側(人事担当者)の実際の運用を考えてみたいと思います。求職者のスカウトメールに対する意識調査として、大手就活サイト「あさがくナビ」を運営する、株式会社学情が2023年卒対象のスカウトメールに関するアンケート結果を公表しています。こちらでは主に以下の点が挙げられています。 

【総括】 
インターンシップなどの企業選びでは、「検索」よりも「スカウトメール」を活用。スカウトメールに記載されていると嬉しいポイントは「スカウト送付の理由」が最多。 

 【INDEX】 
 (1)インターンシップなどの企業選びにおいて活用しているものは、「メール」が「検索」を上回る 
 (2)スカウトメールに記載されていると嬉しいことは「自分にスカウトを送ろうと思った理由」 
 (3)プレエントリーしたくなるスカウトメールは「希望する職種と合っている」が最多。次いで「希望する業界と合っている」 

 引用 資料:  2023年卒学生の就職意識調査(スカウトメール) 2021年11月版 

求職者としてはやはりきちんと自らの希望にあったスカウトメールを送ってくれる企業に興味を示しており、さらに「なぜ、私を選んでスカウトをくれたのか?」と言う理由の面をかなり気にしていることがわかります。 この点を踏まえますと、企業としては以下の点を必ず意識してスカウトメールを作成する必要があると考えられます。 

 ・「求職者の登録希望データを確認してマッチする人材へ確実に送付する 」
 ・「上記に付随して、声をかけた明確な理由を必ず添える 」


また、上記に加えて筆者自らの転職時の経験から付け加えますと、多くの企業がスカウトメールの文面を、求人サイトが予め用意しているテンプレートを転用し、企業名や担当者名を変えただけでそのまま利用して送っています求職者目線からすると、「これテンプレだ・・」とすぐにわかりますので、せっかくのスカウトメールの効果が下がってしまう可能性が心配されます。

そのため、
できる限り普段のメールのタッチで作成し、「私はしっかりあなたの登録データを見ています」、「当社でこのような方を求めており、あなたのこの部分(明確な職務経験や希望)が気になってお声がけした」と言ったことが、しっかりと伝わるように文面をカスタマイズしてお送りすることで、他社との差別化へと繋がり、レスポンス(応答率)が高まります実際に筆者が人事担当者だった時代に上記のあたりに注意をしながら作成して発送したところ、確実に単純にお送りするよりもレスポンスが良くなった経験がありますのでお勧めしています。

そのため私見を述べさせていただくと、スカウトメールは数で勝負と言うよりも、確実にターゲットとなる求職者だけに絞って送る形にして質を高めることが大切」であり、最終的には作業効率や業務負荷も考慮すると、この形の方が企業にとってのメリットも大きいものと考えます。 

なお、スカウトメール自体が業務負荷であり、なかなか対応が難しいという場合には、近年、RPO(採用業務の代行)と呼ばれるサービスも増えており、スカウトメールの発送部分だけを外注するようなことも可能です。しかし、例えば以前に自社で勤務していた方の中から、退職されて現在フリーとなっている方に扶養内収入でのアルバイトで依頼したり、副業可能な他社で勤務中の方にピンポイントで業務対応をお願いするというような形を取る事で、一から新しい方にお願いするよりも効率的にスカウトメールを進めていくことができますし、外注を利用するよりもコストが抑えられますので、検討してみるのも良いでしょう。

 

 

まとめ】

 

激化する採用マーケットにおいて、より重要性を増しているスカウトメール。しかし、利用する企業も増えてきたことで、闇雲に発送したとしてもなかなか結果に結びつかない状況になっています。うまくスカウトメールから応募が得られていない場合には、運用方法の見直しをお勧めしております。お気軽に弊所までご相談下さい。 

 


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