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採用面接 質問例 ~ミスマッチ防止にむけて~

 新卒採用も10/1の内定式を目前に控え、概ね採用活動が落ち着いてきたように感じます。ここからは新卒採用の目標未達人数、または欠員補充等を目的とした中途採用などが年末年始にかけて活性化していきます。今回は採用面接官むけの面接質問例を、2つの視点からご紹介します。

 

 

【事前準備の重要性】

 

企業においてはご周知のとおり、人材採用は生命線です。近年、AIをはじめとしたIT技術を駆使して、人員不足をITで補おうとする動きが確かにありますが、企業運営においてその全てを置き換えることは不可能であり、根幹となるべきポジションや職務については、やはり「人」を配置する必要があります。そのため採用活動が活発に行われているわけですが、学生の長期インターンシップなどの一部手法を除いては、現在、少子高齢化が加速する中で、応募の母数自体が徐々に減少しており、ただでさえ応募が少ない中にも関わらず、基本的に企業は3回程度まで採用面接を通じて人材の採用を決定しなければなりません。
  
 この限られた機会の中で人材が自社に適しているか判断を行わないといけないわけですが、「面接だけではわからない」・「実際入社したら面接と全く違った」などと言ったご相談が弊所にも多く寄せられています。そのようなご相談があった際に実際の面接対応の内容をヒアリングすると、インターネット上からダウンロードできる質問例を用いてその質問だけをしていたり、中には履歴書へ事前に目を通さず質問を用意しないまま、その場の感覚で面接をされているといったケースもありました。

 このような状況の中、「合わなかったら試用期間で終了すれば良い」と誤解をされている企業も散見されますが、現在の日本では解雇が非常に厳しく制限されており、たとえ試用期間中であっても能力不足を理由に容易に解雇を行うことは難しく、実際に試用期間中の解雇によって裁判に発展しているようなケースも見受けられます。企業はこのような点を認識し、採用面接の重要性を再認識していただき臨んでいただく必要があるものと考えますので、1つ1つの採用面接にパワーを注いでいただくべきと思います。


【一歩進んだヒアリング】

 中途採用は第二新卒などの若年層を除けば、「応募者は何ができるのか?」という点に焦点が絞られます。この点においては職務経歴書を見ながら質問する形になると思いますが、書面の内容をそのまま鵜呑みにしてしまい、確認を怠っているケースが散見されます。例えば営業職を例に取ってみますと、単に営業数字だけを確認するのではなく、以下のような点に注目して質問することをお勧め致します。
 
 
<職歴書の記載>
・仮:月間売上1,000万円、粗利益300万円(目標達成率100%)を達成。
 
 上記は確かに数字上立派なものと感じられますが、果たしてそのまま応募者の成績が反映されているのでしょうか。採用面接では以下のような質問で更に深堀りをすることをお勧め致します。
 
 (質問例)
 ・商材1件あたりの売上単価や粗利益は?(担当件数の確認)
 ・他社員から引き継いだ成績が含まれていますか?(自力での結果確認)
 ・前期からどの程度、成績が伸びましたか?(一過性・継続性の確認)
 ・他社員の目標達成率はどの程度でしょうか?(平均値の確認)
 
 よくあるケースとしては離職率の高い職場のため引継ぎが頻繁に行われており、実際のところは応募者本人が新規で獲得した受注が僅少だったと言うような場合です。仮に自社が新規営業100%の営業手法だったとするならば、この点の確認を怠ってしまうと、ミスマッチが起こり得る可能性が高まるということになります。そのため自社の求人に関して、どのような経験や実績を持っている方がベストなのかを事前に把握すると共に、それを確認するために積極的に踏み込んだ質問を用意しておくことがとても重要となります。
 

【入社後のギャップを確認する質問例】


 次に会社や職務内容が入社前のイメージと違ったという点についても、離職理由として多く聞かれます。こちらは採用面接の段階でのイメージ共有が不足していることが多いのですが、特に面接で避けた方が良いと考える対応は、「何か質問ありますか?」・「聞きたいことがあればどうぞ」とボールを一方的に応募者へ投げてしまい、自社からの確認作業を怠ってしまうケースです。応募者は募集媒体やホームページの内容だけを見ており、それ以上の情報は基本的に持ち合わせていませんので、この部分のギャップを埋めることができるのは応募者側ではなく、むしろ募集している「企業側」の方になると考えます。そのため以下のような質問例にてイメージの共有に努めることが大切となります。
 
 (質問例)
 ・当社に対する率直な印象をお聞かせ下さい。
 ・一日の業務の流れを、想像の範囲で結構なのでお話いただけますか?
 ・当社でのキャリアパスについて、イメージしているものを教えて下さい。
 ・本日の面接を終えて、心配や気になった点があれば教えて下さい。
 
 また、上記とは別に選考過程において、可能ならば配属予定部署管理職社員等と接する機会を設けることができれば、より応募者にとってはイメージがつきやすく、会社側にとってもリスク低減に繋がります。特に社風の部分については、応募者側から最も気になる点の1つであるにも関わらず把握をすることが難しく、選考過程において面接官としか会わないとなると、入社後、出たとこ勝負というような形になりますので、万が一フィットしなかった場合には早期退職へと繋がってしまうリスクもあります。そのため会社側から社風を理解してもらうための機会を提供することは重要であると言えます。
 


【まとめ】

 激化する採用戦線において如何にミスマッチを減らすか?これは全募集企業による永遠のテーマとも言えます。限られた時間の中で、自社の求める人材像なのか確認するにはとにかく事前の準備が大切です。たった数回しか設けることができない面接で何ができるか?もう一度、お考えになってみてはいかがでしょうか。

 


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