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高卒採用ルールについて

加熱する採用競争において近年注目を浴びているのが「高校生の新卒採用」です。令和5年7月末時点における厚生労働省からの発表によれば、令和6年度採用の求人倍率は「3.52倍」、求人数も前年同期比10.7%の増加となっています。大学生の新卒採用が年々厳しくなる中、新たな採用ターゲットとして、高卒採用を検討している企業が増えていることが数字に現れています。しかし高卒採用は独自のルールがあり、知らずして採用をおこなってしまうと行政からの指導が入るようなこともあります。今回は高卒採用における基本的ルールをご紹介致します。 

 

【求人申込はハローワークでのみ可能】 

 

  大学生の新卒採用や社会人の中途採用では、例えば人材紹介会社や求人広告(就職サイトを含む)など民間会社のサービスを介して求人の申込が行われる形が一般的ですが、高卒採用は各地のハローワークが取りまとめをおこなっており、企業からの求人申込は管轄のハローワークを通じてのみ可能となっています。このハローワークへの申込についても、書式、求人申込みが開始される日、面接が解禁となる日などが細かく決められており、当該各年度において厚生労働省のホームページ等を通じて公表がされますので、そちらのスケジュールに従って採用活動を行っていくことが必要です。なお、ハローワークへ求人の申し込みを行った後もすぐに求人活動を開始できるわけでなく、一定期間を経た後、受理印が押印された求人票が後日返戻されてきますので、この到着を待って企業側からの広報活動が本格的に開始できることになります。令和6年度採用は、令和5年6月1日から申し込み開始、その後7月3日以降に求人票の返戻が行われました。 

 

 

令和5年度 高卒求人活動のルールおよび求申込手続きについて

(引用:ハローワーク渋谷 スクールコーナー公表) 

 

 

【進路担当の先生がキーパーソン】 

 

 大学生の新卒採用の場合、会社説明会、インターンシップ、OB・OG訪問などを通じて大学を介さずに学生へ直接勧誘ができますが、実は高卒採用については、直接、学生を集客して勧誘する行為などは禁止されており、全て各学校を通じてやり取りをすることになっています。具体的には各高校に進路担当先生が配置されており、この先生方が連絡窓口になって下さいますので、自社の紹介やアピールをすることで、進路担当の先生から就職希望の学生へと求人が案内されます。 

 

近年では企業むけの高卒採用支援として、各学校への求人票や会社資料の発送代行、進路担当の先生との情報・名刺交換会の開催や、就職希望の学生むけの情報提供サイトなどを運営している民間会社も増えていますので、利用を検討してみるのも良いでしょう。このように、大学生の就職活動は直接的な応募の勧誘ができますが、高卒採用は間接的に留まる点が特徴であり、初めてチャレンジされる企業が最も戸惑う点でもあります。 

 

なお、反対に学校・学生側からアプローチが来ることもあり、職場見学希望の申込みが学校から連絡が入ることがあります。その他にもハローワークが主催する合同企業説明会に抽選で当選することで、学生に対して企業が直接説明できる機会を得られることもあります。前者については事前に学校訪問による広報の実施やダイレクトメールの反響などで機会が増える可能性があるものの、後者は参加希望企業が多数いることから抽選漏れになることも多く、高卒採用は全体的に企業側から直接説明する機会が非常に少ないため、やはり進路担当の先生に如何に自社の良い点や、仕事の魅力、職場の雰囲気などを伝え、学生に求人をお勧めしていただくかが最大の焦点の1つになることは間違いありません。

 

 

【面接の質問は事前に用意】 

 

 最後に企業が苦慮する点として、採用面接の対応をご紹介します。9月に入ると、いよいよ学校から応募者の履歴書や学校成績表などが送られてきて、面接が組まれていきます。そして当日、面接で様々な質問をするわけですが、ここでも注意を要する点があります。現在の高卒採用については、厚生労働省の公正採用選考の基準に厳格にそって採用面接を実施することが求められています。 

事業主・採用選考担当者・求職者のみなさまへ(引用:厚生労働省) 

 

具体的には、採用選考は「応募者の基本的人権を尊重すること」・「応募者の適性・能力に基づいた基準により行うこと」を基本的な考え方として、「応募者の適性・能力とは関係のない事項で採否を決定しない」ことを求めています。そのため例えば、家族に関すること(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴など)や、思想・信条にかかわること(宗教、人生観、尊敬する人物、思想に関すること、愛読書など)の把握は、この公正採用選考にそぐわないものとして、質問をしないことに注意が必要です。何気なく、尊敬する人物愛読書などを質問してしまうと、この点に抵触してしまい、場合によってはハローワークから注意の連絡を受けることもあります。そのため事前にどのような質問をするか、社内ですり合わせをおこなうと共に、中途採用や大学生の新卒採用以上に事前にきちんと段取りを組んだうえで、当日の面接対応をおこなうことが大変重要となります。 

 

 

 【まとめ】 

 

 このように普段の採用と高卒採用では、大きくルールや運用が異なっています。弊所に対しても、結局何が良くて何がダメなのかわからないと言ったようなものや、応募を増やすにはどうすれば良いかと言ったご相談が毎年寄せられます。また、高卒採用は6月の求人申込開始から、多くの企業が10月までには採用が決まっているケースも多く、短期決戦と言う特徴も持っていますので、計画、準備、本番と効率良く進めていくことが必要です。毎年、4月頃までには採用計画が立っていないと、後手になってしまう傾向がありますので、来年の高卒採用をご検討されている場合には、お早めの計画立案をお勧め致します。 


・COH社労士事務所 人事労務LABOでは、独自のルールで行われる高卒採用について、豊富な実務経験と採用支援経験から採用活動をサポートしております。「高卒採用に初めてチャレンジしたい」・「なかなか上手くいかない」と言った悩みがありましたら、お気軽に弊所までご相談下さい。詳細はこちらをご参照下さい。